2009年06月19日

竹尾ペーパーショウ メディアとしての紙

竹尾ペーパーショウ上映会の続きです。早起きして神保町に行き、メディアとしての紙についての3講演を、メモしながら聞いてきました。非常に濃い2時間でした。

ひらめき水越伸先生(東大大学院助教授)
桑沢デザインのメディア論の中で、水越先生が書かれた「メディアとしての電話」という本を読みました。ぞくぞくするくらい面白くて(御手洗先生の授業も)、一度話を聞いてみたいと思っていました。
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新しいメディアは、社会の中心じゃないところから、これまでと違う考え方をする人たちの中から生まれます。電話もインターネットも、人々は、それが産業として一般的になると、それがなかった頃をすっかり忘れ、それを意識しなくなります。あってあたりまえになり、新しいトライアルをしなくなります。

紙というメディアもそうでしょう。紙が無い生活は想像できません。一般的な紙の書く、記録する、という紙(メディア)の用途の思い込みから、紙を解放して、新しいトライアルをしていくこと。
紙をデザインしたりするだけでなく、紙と人間とのかかわり方、関係性を考えることも重要でしょう、とのこと。
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紙の用途を解放する、という言葉に、また脳がぞくっとしました。


ひらめき小田嶋隆さん(コラムニスト)
ネットでニュースを見るので新聞購読をやめていましたが、数十年ぶりに新聞購読を始めて気づいたこと。
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同じニュースでも、ネット上のニュースは、1つづつ見ていくしかないですが、新聞の場合は、ちゃんと読まなくても、タイトルをざーっと見ただけで、そのタイトルの大小、色、記事のボリュームなどにより、何が世の中で起きているのか大体把握することができます。この人間の物事を一覧する能力を「ブラウジングアビリティ」とします。

編集(EDIT)は、テキストや写真を読む人間の思考形態に合わせて順序を変えていくことで、新聞の紙面は、リテラル(文字ベース)な情報がグラフィカルに変換・編集されているけれど、WEBの画面はリテラルな情報がグラフィカルな情報に変換されていないのです。

紙の場合は、そのページの中で情報が完結している必要があるけれど、webの場合は、ハイパーテキストでどんどん情報を芋づる式に伝えていくことができます。
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とりとめのないメモなので、うまくまとまらないですが。
情報を伝える機能は、webも紙も同じだと思いますが、メディアの特性を使ってどう見せていくか、今後の仕事の中でも、いろいろと考えてしまう内容でした。


ひらめき都築響一さん(編集者・写真家)
午前中最後の講演。参考写真がたくさんあって、見ているだけで面白かったexclamation×2
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webがあると本が売れなくなるというけれど、pcを見ない人にとっては、紙の方が親しみのあるメディアで、そういう人の方が圧倒的に多いし、そういう一番底辺にいる人の発想が一番面白いです。
どう伝えるか、どう見せるか、ということよりも、何を伝えたいか、という気持ちの方が強い人たちだからです。

小悪魔agehaの、グラフィックとコピーが一体化している紙面、レディコミアムールの、読ませたいのか読ませたくないのかわからないマンガ内の効果音(笑)、雑誌の裏の方でよく見る「私はこれで大金持ちになりました」というような、情報詰め込みすぎの怪文広告などなど、参考例がまた面白くて、その紙面を作っている事務所をわざわざ見学に行っていることがもっとすごい!

紙面には、きれいに、わかりやすく伝えようとするデザイナー視点はないし、実際にデザイナーがいない場合もあるけれど、何かを伝えたいという迫力は十分にあります。
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何を伝えたいのかが1番、どう伝えるかが2番の濃い事例に中てられました(笑)しばらくはこの視点で、いろんなグラフィックを見てしまいそうです。
posted by 来来 at 12:58| 洋紙

2009年04月30日

アバウトなエコの紙

平和紙業さんから、紙サンプル「アースボード」が届きました。

紹介コピーには、「アバウトなエコをお望みの方へ ゆるい感性を大事にるす人向き」とあります。

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その時々で、入手できる再生原料を用いて作られるボード紙だそうで、古紙の配合率や種類は特に決まっていないそう。

その時々で色味も表情も異なる紙だなんて、なんて大らかな紙!
言われてみれば、きっちり真っ白、いつも同じサイズ、同じ色、同じ形の品質再現が求められることは、大量生産が可能になったここ数百年のこと。

生まれてこの方ずっと当たり前に思っていた、大量生産大量消費の感覚を、1世代前の古い感覚として1度捨ててみることが、エコになるのかもしれません。
posted by 来来 at 13:27| 洋紙

2009年04月19日

竹尾ペーパーショウ2009

先週丸ビルで行われた、「竹尾ペーパーショウ2009」に行ってきました。今年は例年と違って、ことばのペーパーショウだそうで、講演会形式でした。

でも、二日間にわたって、席は抽選で、申し込めるだけ申し込んだけど、結局17日(金)の2講演しか聞くことができませんでした。

特に、和紙の石川製紙株式会社の石川さんの講演「和紙は工業製品たり得るのか」を聞けなかったのは本当に残念です。

それでも、とても面白い講演を聴くことができました。

ひらめきフェルチォ・ジルベルティさん
イタリアの老舗ファインペーパーメーカー「グルッポ コルデノンス」の方。イタリア、その他の高級有名ブランドのペーパーアイテムのために、特注紙を作っているだなんて、初めて聞きました。

紙質とデザインと印刷は、一体になって一つの価値を生み出すということ。心に沁みました。

こんな時代だからこそ、減らしても、お客さんの手に、一番初めに触れる紙バックやカタログにこそ、品質を求めるべきだ、という言葉も。


ひらめきフランチェスコ・ナタリさん
600年以上の歴史を持つ、イタリアのステーショナリー紙メーカー「マニアーニS.r.l」の方。

どんなに電子メールが使われようとも、結婚式や大切なパーティの招待状には何年先でも紙が使われる、という予測。確かに、電子メールというコミュニケーションにはない、紙に書かれた文字のリアルさ、言葉と意味の重さは、何年たっても変わらないでしょう。


来年もしまた同じ形式で開催なら、全部聞きたいです。本が出たら、買わなくてはなりません。
posted by 来来 at 23:57| 洋紙

2009年03月30日

極上のラグジュアリー ジパング

平和紙業さんから、新しい紙の見本が届きました。

表紙には、「極上のラグジュアリー ジパング 黄金の魅力(渋さ、深さ、気品さ)」とあります。

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黒い箔押しが格好いいです。
右端から、黄色っぽいインカゴールド紙厚違い、ゴールドといったとき、一番イメージに近いリッチゴールド、少し土色が入ったエジプシャンゴールド。

いつか使いたい紙です。
posted by 来来 at 23:59| 洋紙

2008年10月30日

山櫻 サクラテラス

名刺と封筒で有名な「山櫻」さんのショウルーム「サクラテラス」が、2008年4月に墨田区にオープンしており、先日お伺いしてきました。

数百部という小ロットで、デザイン性のある、オリジナルのペーパーツールを作ろうとすると、大概お見積の高さにお客様は驚かれます。封筒などの場合、1,000枚以上作るのであれば、1からデザインを作ってもCPは良くなりますが、それほど枚数を必要としない場合も多いのです。

そこで、小ロットで、既成品のものを利用しつつ、オリジナルの良い品質のものを、高すぎない価格で(←重要)提供する方法はないか?と、方法を探っています。

小さな工場が並ぶ通りの中にある、すっとした建物の3階がショールームで、名刺・封筒の紙サンプルを色々と見せて頂き、帰りに封筒のサンプルセットを頂きました。
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これまで知っていたのは、山櫻さんのほんの商品の一部分でした。もっともっと奥が深くて、いろんな紙の種類から、豊富なサイズの封筒が作れることがわかりました。

さっそく新しい商品のアイデアが浮かんできました。
posted by 来来 at 12:57| 洋紙

2008年04月20日

TAKEO PAPER SHOW 2008

毎年楽しみにしている竹尾のペーパーショウに行ってきました。
今年も紙の印刷・加工サンプルとして、文具セットが展示されていました。

使い方が面白かったのは、「ジャガード」にさらにエンボス加工を施した作品、agateのパッケージ(紙の名前は忘れたけれど、ドイツ製の渋いキラキラした紙)。

使ってみたいと思った紙は、加熱型押し部分が透明化する「パチカ」と、さわり心地の気持ちいい「桃はだ」。どんなものに使いませんか?と提案できるかな?
posted by 来来 at 13:35| 洋紙

2007年12月26日

クリスマスカード

早いもので、もうクリスマスも終わり、年越しの準備です。

今年とどいたクリスマスのDMです。マンションの案内、お店のインビテーションなど、ちょっと高級感が必要な場合のDMには、今年は光沢のある紙、キラキラした印刷が多く使われていたように思います。

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posted by 来来 at 00:04| 洋紙

2007年10月06日

Pack unpack

赤いクロマティコの素敵なDMが竹尾さんから届きました。クロマティコはトレーシングペーパーの厚紙版のような、透ける紙です。封入される紙や物が透けて見えるので、何が入っているんだろう?とわくわくします。

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DMの内容は、パッケージデザインの可能性を探る「Pack unpack」という見本帖での展示会です。
posted by 来来 at 11:51| 洋紙

2007年09月06日

Marmaid Tag SESSION

2007年9月10日から、神保町の竹尾の見本帖で、マーメイド紙の展示会があるそうです。

先日、冊子12種の表紙に、マーメイドを12色使ってみました。印刷はスミ一色で、紙の地色を生かしました。この色数の豊富なところと、なんといっても主張しすぎず、かといってつまらないわけではないやさしいテクスチャのマーメイドが好きです。

見に行ってみようと思います。

竹尾
http://www.takeo.co.jp/
posted by 来来 at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 洋紙