
桑沢デザインのメディア論の中で、水越先生が書かれた「メディアとしての電話」という本を読みました。ぞくぞくするくらい面白くて(御手洗先生の授業も)、一度話を聞いてみたいと思っていました。
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新しいメディアは、社会の中心じゃないところから、これまでと違う考え方をする人たちの中から生まれます。電話もインターネットも、人々は、それが産業として一般的になると、それがなかった頃をすっかり忘れ、それを意識しなくなります。あってあたりまえになり、新しいトライアルをしなくなります。
紙というメディアもそうでしょう。紙が無い生活は想像できません。一般的な紙の書く、記録する、という紙(メディア)の用途の思い込みから、紙を解放して、新しいトライアルをしていくこと。
紙をデザインしたりするだけでなく、紙と人間とのかかわり方、関係性を考えることも重要でしょう、とのこと。
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紙の用途を解放する、という言葉に、また脳がぞくっとしました。

ネットでニュースを見るので新聞購読をやめていましたが、数十年ぶりに新聞購読を始めて気づいたこと。
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同じニュースでも、ネット上のニュースは、1つづつ見ていくしかないですが、新聞の場合は、ちゃんと読まなくても、タイトルをざーっと見ただけで、そのタイトルの大小、色、記事のボリュームなどにより、何が世の中で起きているのか大体把握することができます。この人間の物事を一覧する能力を「ブラウジングアビリティ」とします。
編集(EDIT)は、テキストや写真を読む人間の思考形態に合わせて順序を変えていくことで、新聞の紙面は、リテラル(文字ベース)な情報がグラフィカルに変換・編集されているけれど、WEBの画面はリテラルな情報がグラフィカルな情報に変換されていないのです。
紙の場合は、そのページの中で情報が完結している必要があるけれど、webの場合は、ハイパーテキストでどんどん情報を芋づる式に伝えていくことができます。
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とりとめのないメモなので、うまくまとまらないですが。
情報を伝える機能は、webも紙も同じだと思いますが、メディアの特性を使ってどう見せていくか、今後の仕事の中でも、いろいろと考えてしまう内容でした。

午前中最後の講演。参考写真がたくさんあって、見ているだけで面白かった

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webがあると本が売れなくなるというけれど、pcを見ない人にとっては、紙の方が親しみのあるメディアで、そういう人の方が圧倒的に多いし、そういう一番底辺にいる人の発想が一番面白いです。
どう伝えるか、どう見せるか、ということよりも、何を伝えたいか、という気持ちの方が強い人たちだからです。
小悪魔agehaの、グラフィックとコピーが一体化している紙面、レディコミアムールの、読ませたいのか読ませたくないのかわからないマンガ内の効果音(笑)、雑誌の裏の方でよく見る「私はこれで大金持ちになりました」というような、情報詰め込みすぎの怪文広告などなど、参考例がまた面白くて、その紙面を作っている事務所をわざわざ見学に行っていることがもっとすごい!
紙面には、きれいに、わかりやすく伝えようとするデザイナー視点はないし、実際にデザイナーがいない場合もあるけれど、何かを伝えたいという迫力は十分にあります。
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何を伝えたいのかが1番、どう伝えるかが2番の濃い事例に中てられました(笑)しばらくはこの視点で、いろんなグラフィックを見てしまいそうです。